おめでとうございます!!
記事によると、17日に発表された芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)は、芥川賞が柴崎友香さん(40)の「春の庭」、直木賞は黒川博行さん(65)の『破門』に決まった。同日夜に東京・築地の料亭「新喜楽」で行われた選考の経緯と講評を紹介する。
≪芥川賞≫ 柴崎友香さん「春の庭」
巧みな技術「これまでで一番」
例年より長めとなる約2時間半の討議の末、芥川賞は柴崎友香さんの「春の庭」(「文学界」6月号)に決まった。選考委員の高樹のぶ子さん(68)は「こんなにもめた選考会は過去になかった」と、白熱した討議を振り返った。
初回の投票で、小林エリカさん(36)の「マダム・キュリーと朝食を」(「すばる」4月号)と横山悠太さん(32)の「吾輩ハ猫ニナル」(「群像」6月号)の2作が選外に。残る3作について長時間の議論を行った結果、柴崎さんの受賞が決まった。
候補4回目で賞を射止めた柴崎作品は、「完成度も成熟度でもこれまでで一番。自分の世界を広げた」と絶賛された。特に、人称や視点を巧みにずらしていく小説ならではの手法が「不思議なゆらめきを生み出している」「エンターテインメントでは許されない文学的効果」として、主に技術面で高く評価された。
僅差で賞を逃したのが戌井(いぬい)昭人さん(42)の「どろにやいと」(「群像」1月号)。「戌井さんのこれまでのテイストを壊さず、完成度が上がっている」と、独特のユーモアある作風は多くの委員に好感されたが、強く推す意見が足りず、最終的に過半数の支持は得られなかった。
羽田圭介さん(28)の「メタモルフォシス」(「新潮」3月号)も「自分探し小説のよさがある」と、一部委員から支持された。マゾヒストという特殊な世界を「まっすぐ、ごまかしのない書き方をしている」点が認められ、最後まで競り合った。
最初に脱落した小林さんについては「ジャンプ力だけで書かれている。もう少し筋道を立てた小説の作り方をしてほしい」。中国語と日本語を織り交ぜた特異なスタイルの横山作品には表現面や意欲を評価する声が相次いだが、「意匠を凝らしすぎ」「全力投球だが次はどうか」などの疑問も寄せられ、高い点は得られなかった。(磨井慎吾)
≪直木賞≫ □黒川博行さん「破門」
心象描かず読ませる筆力評価
約2時間半の討議をへて、直木賞は黒川博行さんの『破門』(KADOKAWA)に決まった。同作は初回の投票で圧倒的な支持を集め、会見した選考委員の伊集院静さん(64)は「候補作の中で読み物として一番面白い。心象を一切書かず、これだけ読ませるのは素晴らしい」と絶賛した。
『破門』は人気ハードボイルド『疫病神』シリーズの5作目。映画製作資金を持ち逃げされた建設コンサルタントとヤクザの相性最悪コンビの奔走を描く。選考委員の宮城谷昌光さん(69)は「アメリカ映画のようで、ペーソス(哀愁)が出ている」と高く評価。伊集院さんは「こういう話に死体が出てこないということが、ペーソスやメリハリといった黒川ワールドの理想に近づいているということだろう」。6回目のノミネートで受賞を決めた黒川さんの姿勢についても「作品の質を落とさずに書いてこられたことに敬意を表したい」とたたえた。
前回に続いてノミネートされた千早茜さん(34)の『男ともだち』(文芸春秋)は比較的高い評価を得たが、「女性にとって男友達は成立するか?」というリアリティーをめぐって選考委員の意見が割れた。伊吹有喜さん(45)の『ミッドナイト・バス』(同)は強く推す委員もいたものの、全体の支持を得られなかった。
米澤穂信さん(36)の『満願』(新潮社)は6つの作品からなるミステリー短編集だが、作品にあるコレラの伝染経路や証拠物の返却などについて、一部の委員が「過ち」を指摘。「いわゆる推理(小説)として成立するかという点も含めての指摘だった」という。
柚木麻子さん(32)の『本屋さんのダイアナ』(同)、貫井徳郎さん(46)の『私に似た人』(朝日新聞出版)は、いずれも「まだスケールが狭く、頭の中で書いており、体で書けていない」とされ、受賞はならなかったとのことです。
内容紹介
第151回芥川賞授賞作。
行定勲監督によって映画化された『今日のできごと』をはじめ、なにげない日常生活の中に、同時代の気分をあざやかに切り取ってきた、実力派・柴崎友香がさらにその手法を深化させた最新作。
離婚したばかりの元美容師・太郎は、世田谷にある取り壊し寸前の古いアパートに引っ越してきた。あるとき、同じアパートに住む女が、塀を乗り越え、隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃する。注意しようと呼び止めたところ、太郎は女から意外な動機を聞かされる……
いつもの街の中に、気づかなかった「時間の流れ」や「暮らし」の歓びが浮かび上がります。
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内容紹介
映画製作への出資金を持ち逃げされたヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮は、資金回収のため、関西とマカオを奔走する。巨額の資金をめぐる争いはやがて組同士のトラブルに発展し、桑原にも絶体絶命の危機が!
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