記事によると、誰にもある「光を照らす力」
弥生です、と名乗ると、必ずきかれる。「三月に生まれたのね。」
わたしは三月に生まれたんじゃない。
三月に捨てられた。
*
こんな衝撃的な言葉からこの小説は始まります。主人公の弥生は、生後間もなく捨てられて児童養護施設で育ち、高校卒業後に働きながら准看護師の資格を取って、今は病院で働いています。独善的な医師が多く問題の多い病院ですが、弥生には他に居場所はなく、さまざまなことを見て見ぬふりをしてやり過ごす日々です。
そんな病院に新しい看護師長がやってきます。子供のように小柄で笑みを絶やさない師長を、はじめ周囲は侮りますが、実は有能な彼女はこの病院の問題に鋭く切り込んでいきます。自分の生い立ちを誰よりも不幸だと感じている弥生。でも、新しい師長をはじめ、長く地域に住む患者の男性など、人々との出会いを経て、少しずつ物ごとへの向き合い方を変えていきます。
児童虐待とそこにさしのべられる手をさまざまな視点から描いて話題となった前作『きみはいい子』が、誰かに「いい子」と呼ばれる必要のある子供を描いたものだったのに対して、今回は「いい子」でいなくては、とその言葉に縛られてきた元・子供の物語でもあります。どこかに確かにある現実を描きながらも、そこに差し込む光や、誰もがその光を照らす力を持っていることに気づかせてくれる、感動の物語ですとのことです。
内容紹介
いい子じゃないと、いけませんか。
施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。
なぜならやっと得た居場所を失いたくないから――
『きみはいい子』(第28回坪田譲治文学賞、第1回静岡書店大賞、2013年本屋大賞4位)で光をあてた家族の問題に加え、医療現場の問題にも鋭く切り込む書き下ろし長編。中脇初枝が再び放つ感動作!
中脇初枝
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